ダマスクローズは、食卓にも薬棚にもあった

シリアのアル・ムラ村では、5月にダマスクローズが咲くと、家族で花を摘みます。集めた花はお茶に、シロップに、ジャムに。そして乾燥させた花は、薬草を扱う店にも並びます。

花を摘んだ先にある、いくつもの仕事

ユネスコが紹介するアル・ムラの暮らしでは、農家と家族が手で花を摘み、お茶にするつぼみを選り分けます。村ではシロップやジャム、菓子も作られています。栽培と加工をめぐる知識や手仕事は、2019年に無形文化遺産の代表一覧表へ登録されました。[1]

バラの香りは、花瓶や香水瓶の中だけにあるものではありません。甘いものに加え、乾かして保存し、薬草として扱う。花を収穫する季節には、畑の仕事と台所の仕事が続いています。

口や喉、皮膚に使われた花びら

欧州医薬品庁(EMA)は、ダマスクローズを含む3種類のバラの乾燥花弁について、口や喉の粘膜、皮膚の軽い炎症に用いる伝統を評価しています。対象は、乾燥した花びらなどから浸出液を作り、口の粘膜や皮膚に使う医薬品の材料です。香りを嗅ぐ精油の話とは違います。[2]

この評価は、長年の使用実績に基づくものです。EMAは、臨床試験の根拠が十分ではないことも明記しています。バラの花びらを薬用にしてきた記録はありますが、人での効果が十分な試験で確立した、という評価ではありません。[2]

乾かす、煮る、香りを取り出す

乾燥した花びら、甘く煮た花、精油やローズウォーター。同じバラでも、加工するとできるものが変わります。ローズウォーターは中東やインドの菓子にも使われ、キュー王立植物園はバクラヴァやターキッシュ・ディライトなどを挙げています。[3]

ダマスクローズを育ててきた人たちにとって、一輪は眺めるだけの花ではありませんでした。摘んだあとの手仕事が、食べ物と香り、薬用の材料を作り分けてきたのです。

出典

  1. ユネスコ|アル・ムラのダマスクローズをめぐる慣習と手仕事

    5月の開花・手摘み、茶・シロップ・ジャム・菓子、薬草店での乾燥花の販売、2019年の登録。

  2. 欧州医薬品庁|Rosae flos

    ダマスクローズを含む3種の乾燥花弁の伝統的な医薬品用途。長年の使用に基づく評価と臨床試験の限界。

  3. キュー王立植物園|Roses

    ローズウォーターの中東・インドの菓子への利用。種を限定しないバラ全般の食文化情報として使用。

植物の歴史と研究を扱う読み物です。CODE製品の効能を示すものではありません。

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